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リアルでシンが髪型どうにもならなすぎて死にたい言ってて思いついた小話。
正直自己満足すぎるので個人的に送りつけたら何か脅されたのでここに公開。
よく考えたら自己満足でやってるブログだしね。気にしない。
ケータイで1時間で完成させた低クオリティ椎晴です。
出演者:縷々・晴太・椎那
お借りしました!
*****
ぴょこり、ぴょこり。
自分では見えないけど、動く度に揺れているのが分かる。
年齢不相応な猫耳のフード。
好きだけど普段はいつも被っている訳じゃない。
でもその時、あたしはしっかりと被って手で抑えていた。
風で脱げないように、好奇心で脱がされないように。
その理由を知っているのは縷々だけだ。
彼女はそんなあたしを見て苦笑しつつ、フードを脱がそうと追いかけてくる不届きな仲間を宥めてくれている。
時々あたしにも、別に構わないじゃないかと声をかけてくるが、あたしは構う。
縷々以外の誰にも許す気はない。
それなのに、よりによって。
「椎那どうしたん?」
一番会いたくない人の声がした。
『死にたい』
「せーた君」
フードを抑えていた手に力を込めて、素早く背後に向き直る。
勿論ずっとこうしている訳にはいかない事だけど、出来れば放っておいて欲しかった。
何も知らない晴太はそんな椎那を不思議そうに見ている。
「いや、日焼け防止に…」
「お前そんなの気にするタイプだっけ?つか今日雲ってるじゃん」
晴太の言葉に、むむ、と口をヘの字にする。
「失礼な。あたしだって女の子やで、日焼けとか気にしますぅ」
「いやでも、今の時期にそれ暑くねえの?」
「あたしが普通より暑さに鈍いのは知ってるやろ」
ああ言えばこう言い、互いに譲らない。
見兼ねて縷々が口を出してきた。
「椎那ちゃん、髪を切ったのよ。それが気に入らない形になってしまったみたいで…」
こうやって、フードを被って隠しているの。
縷々の言葉に椎那を見る晴太と顔を覆う椎那。
手の間から呻きにも似た呟きが聞こえる。
「…この髪型どうにもならなすぎて死にたい…」
「もー、だから全然変じゃないってば。それにすぐ伸びるわよ」
二人の会話を聞いていた晴太が、おもむろに近付いて椎那の頭に手を伸ばした。
「どれ、見せてみろ」
「触んないんで」
一歩下がって避ける椎那。
そんな椎那に構わず、晴太は更に近付く。
「縷々見てるんだろ。だったら俺も見たっていいじゃねーか」
「誰もフードに触るな触ったら噛み付く」
威嚇する野生動物さながらに、上目遣いで睨んでフードを抑える。
「…んー、ならいいわ。そんなに嫌なのを無理強いは出来ねえしな」
椎那の様子に潔く手を引っ込めると、ゴソゴソと缶ジュースを取り出した。
その一本を縷々に投げて寄越し、もう一本を椎那の頬に押し付ける。
冷たさに驚いた椎那が慌ててジュースを受け取った。
「あ、ありがと…」
「今日は暑いからな。―――うりゃ」
ノーガードになったフードを素早く脱がせて、してやったり、というように口の端を上げる。
あまりにも唐突過ぎて反応が追いつかず固まっている椎那を見て、縷々が思わず噴き出した。
晴太はというと、変になったという髪型をマジマジと眺めてから、椎那の頭をくしゃっと撫でてニッと笑った。
「―――何だ、別に変な事ねえじゃん。だいぶイメージ変わったけど…大丈夫だ、お前ならどんなんでも可愛い可愛い」
それまで呆然とされるがままになっていた椎那が、唐突に晴太の手に噛み付いた。
悲鳴を上げて晴太が慌てて噛まれた手を抑える。
「ちょお前っ、噛み付くなよ動物じゃあるまいし!」
「触ったら噛み付く言うたやろあたしは有言実行やねん酷い酷い酷いせーた君の嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!!!」
予想外の椎那の勢いに晴太がたじたじとなる。
「な、何でそんな嫌がるんだよ…可愛いって言ってるだろ。そんな気にする事ねえって…」
晴太の言葉に再びフードを勢いよく被り、顔が隠れる程に下げる。
「絶対脱がない」
そんな二人の様子に、やれやれと縷々が溜め息をついた。
脱ぐどころじゃない、顔も見せられない。
だって、無自覚の殺し文句。
「…死にたい…」
照れ臭すぎて、死にたい。
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