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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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有名な某小説ではございません、半年ほど前にハレタカさんが書いてらした童話です。
続き書くーとか言いながら半年も放置していたという事実。
私が書いた文は色を変えてあります。
追記にてぇ!!!!!!

「聞いて、聞いて!
 真っ暗な闇の世界に
 真っ黒な大きな羽の
 とっても怖い悪魔がいるんだって」

おしゃべり好きの小鳥が今日も
うわさばなしを持ってやってきました。
歌うように小鳥はつづけます。

「でもでも大丈夫、
 悪魔は闇から出られない
 ここは光の世界
 悪魔はここへ来られない」

リスもうさぎもほっとして言いました。

「よかったよかった、
 どうせ闇の世界に用はない
 誰も近づくことはない」



しかしその話を聞いた天使は
その悪魔に会ってみたくなりました。

「いったいどんなひとなのかしら」

天使は光の世界と闇の世界の間に行ってみました。
まるで真っ黒なカーテンを引いたように、闇の世界が広がる場所。
すると闇の中に、真っ黒な羽の悪魔が現れました。
小鳥のうわさばなしは本当だったのです。

「そこで何をしている
 さっさとどこかに行かないと、食ってしまうぞ」

悪魔は恐ろしい声で言いました。
怖くなった天使は、急いで逃げていきました。

ところが…



「また来たのか」

悪魔は困ったように言いました。
天使はあれから何度もここにやってきました。
おどかすとすぐに逃げていくのに、
天使は何度でもやってくるのです。
ついに悪魔は天使に聞きました。

「俺になにか用でもあるのか?」

天使は悪魔を見上げて言いました。

「いいえ、ただあなたとお話がしたいんです」

悪魔は驚いて聞き返しました。

「話?何の話をしたいんだ?」

天使は嬉しそうに言いました。

「なんでもいいの」



それから天使と悪魔は話をするようになりました。
天使は光の世界に座って
悪魔は闇の世界に座って
話をしているうちに、ふたりは仲良くなっていきました。

「光の世界はいろいろな色の花が咲いているの。
 一緒に行きましょう」
「行きたくても俺はここから出られない。
 光に体が焼かれてしまう」
 
闇から出られない悪魔のために、天使は花を摘んで持っていきました。
悪魔にあげようと闇の中に入りかけた天使に、悪魔は慌てて言いました。

「入るな!
 体が闇に食われてしまうぞ」

悪魔の大きな声に、天使は驚いてしまいました。
でももう逃げません。



「近くで見せてあげたかったのに」

天使は残念そうに言いました。
すると悪魔は言いました。

「こちらに来れば、その花も枯れてしまうだろう。
 ここからでもよく見える。
 お前の声が、こちらにも届くように」

天使は光の世界に座って
悪魔は闇の世界に座って
お互いそれ以上近づけないまま
それでもふたりは仲良くなっていきました。



「光の世界はいろいろな動物がいるの。
 会わせてあげたいわ」
「会ってはくれないだろう。
 俺はみんなに恐れられている」
 
天使はなにも言えませんでした。
動物たちが悪魔を怖がっているのは本当のことだからです。

「みんなきっとわかってくれる。
 私はもう、怖くないわ」

天使は光の世界に座って
悪魔は闇の世界に座って
いつも同じ
それでもふたりは仲良くなっていきました。



ある日突然、天使がやってこなくなりました。
悪魔はずっと待っていました。
しかし天使はやってきません。

「どうしたのだろう」



するとおしゃべり好きな小鳥が飛んできて言いました。

「おまえのせいだ!おまえのせいだ!」

悪魔は怒って聞きました。

「うるさい鳥め、俺が何をしたというんだ!」

小鳥は早口で歌います。

「おまえのせいで、天使が病気になった!
 悪魔の病気にかかってしまった!」

「なんだって!?」



天使は病気になっていたのです。
光の世界では闇の世界の病気を治せません。

「悪魔の病気なら、闇のりんごで治せるはずだ」

悪魔は闇のりんごを取りに行きました。
戻ってきた悪魔の手には真っ黒なりんごがありました。
悪魔は小鳥に言いました。

「このりんごをあの天使に届けてくれ」

投げたりんごを小鳥は上手に受け取って飛んでいきました。



しかし小鳥はすぐに戻ってきました。

「りんごが消えた、りんごが消えた。
 光に焼かれて、砂になって消えた」
 
悪魔は困り果ててしまいました。
光をさえぎるものがあれば…
悪魔は自分の大きな羽を見ました。



光の中を、真っ黒な大きな影が歩いていました。
悪魔が闇の世界から出てきたのです。
大きな真っ黒の羽を笠のように広げて、闇のりんごを抱えて、
悪魔は小鳥の後をついていきます。

光に焼かれた羽は、サラサラと黒い砂になって地面に落ちていきました。
悪魔が歩いた後を、黒い砂が足跡のように続いていきます。



あと少しというところで、悪魔は倒れてしまいました。

「俺はもう歩けそうにない。
 どうかこれを持っていってくれ」
 
小鳥は悪魔からりんごを受け取ると、急いで運びました。



「まにあった!」

りんごが消えてしまう前に、小鳥は天使に届けることができました。



りんごを一口かじると、天使はたちまち元気になりました。
小鳥もリスもうさぎも大喜びです。
おしゃべりな小鳥は今までのことを得意気に教えました。

「悪魔が光の世界にやってきた
 大きな羽が傘代り
 光を浴びて砂の雨」

天使はとても驚きました。



悪魔が倒れた場所まで来た天使は、黒い砂の山を見つけました。
それは、紛れもなく悪魔だったもの。
天使はぽろぽろと涙をこぼしました。



「泣かないで、どうか泣かないで。
 そうだ、そうだ、神様がいる。
 神様に相談してみればいい」

うさぎの声に、天使はうさぎを振り返りました。

「ばかなことを言わないで、これは悪魔なのよ。
 私たちみんな、食べられてしまうわ」
「そうだそうだ、悪魔なんか信用ならない。
 それに神様は何もしてくれやしない。
 神様はただ見守るだけ。
 光にも、闇にも、関わりはしない」

口々に反対するリスや小鳥に、天使はますます悲しい顔になりました。

「そんなことないわ、悪魔さんはいい人。
 私たちは友達なの。
 私、神様にお願いしてみる」



神様はこの様子を見ていました。
神様のところにきた天使は必死に訴えました。

「神様、お願いします。
 悪魔さんを蘇らせてください」
「あの悪魔は掟を破った。
 光の者は光の、闇の者は闇の
 それぞれの世界から出ることはならない。
 私に悪魔を助ける義理などない」

神様は表情一つ動かさずに言います。

「でも、世界をお創りになったのは神様でしょう?
 なぜ、光と闇にわけたのですか。
 なぜ、そんな掟を決めたのですか」



「天使よ、知らなくても良い真実があるのだ。
 過ぎる好奇心は身を滅ぼすことになる」
「理由や真実などどうでも良いのです。
 ただ、私は悪魔さんに会いたいのです。
 私たちは友達なんです。
 お願いします、悪魔さんを助けてください」

わっと泣き出す天使に、神様の心が少しだけ動かされました。
この二人が初めてでした。
異なる世界の者が仲良くなることも、その相手の為に必死になることも。



「それならば、天使よ」

神様が言いました。

「それほどにまで言うのなら、教えてやろう。
 悪魔を蘇らせることはならない。
 だが、会うことはできる。
 再び悪魔と過ごすことは叶う。
 お前に覚悟があるなら」

天使は顔を上げました。
まっすぐに、神様を見つめて言います。

「…私にできることならばいたしましょう」



「聞いて、聞いて!
 天使と悪魔が出会ったよ!
 下の世界で、人間として」

おしゃべり好きな小鳥が今日も
天使と悪魔の情報を持ってやってきました。

「悪魔は男に
 天使は女に
 二人は再び友達になったよ
 ここでの記憶はないけども」

リスとうさぎが嬉しそうに駆け寄ります。

「よかった、よかった
 天使には幸せになってほしい」
「大丈夫だろう、あの悪魔なら」

口々に言う、その口調にあるのは二人への慈しみ。

光の世界というだけで光の者を
闇の世界というだけで闇の者を
畏れ、忌み嫌う者は、もういません。






*****



イエアアアアアァァァァァ出来たああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
結末を迷ったせいで放置していたが久々に読んで思いついた結末が堕天使だよ!!!
でもいいじゃない、HE(ハッピーエンド)だもの。
SMT(空月マジ滾る)だよ!!!

最初はどこか遠い所にある泉の水を粉になった悪魔にかけたら蘇るという設定にして、
そこまで天使が頑張って行って持って帰ってくるという話にするつもりだったが、どう考えても終わる訳がなかった。
その設定だと最後は光と闇の世界は一つになる的な結末だったのだが…
最後かなり端折ったけどそれでも長くなったな…
神様、結局悪魔を蘇らせはしてくれませんでした。
光と闇も分かれたままだけど、これはこれでいいと思っている。

ちなみに裏設定を言うと、天使と悪魔の魂を人間として転移させてくれた的な感じです。

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