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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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hrtkさんが書いてくださった空姫小説のアル視点!
ようやく書けた…!
台詞も展開も決まってる話を別の視点に直すだけならすぐ出来るだろとか思っていたが、
どうして中々難しかった。
ハレタカさんも刺さんも凄いな…何であんなすぐに書けるんだ…。

お二人のようにコメント欄に書くべきかと思ったが、
あまりにも日が経ち過ぎているのでここに載せる事にしました。


*****


その日、私はお兄ちゃんと待ち合わせて出かける予定だった。
思ったよりも早く着き過ぎてしまって、私は時間まで待っていた。
しばらく本を読んでいたら、不意にポンと肩を叩かれる。
振り向くとそこには知らない男性が立っていた。
 
「ねえねえ、今暇なの?」
 
にっこり笑ってその人が言う。
 
「―――え、あの…」
「時間あるなら一緒に遊ばない?面白い場所を知ってるんだ」
 
そう親し気に話しかけてくる。
知らない筈だけど、どこかでお会いした事があったかしら?
そんな事を考えていると、その思考を読み取ったかのようにその人が慌てたように言った。
 
「あっ、ボクは怪しい奴じゃないから。ミュージシャン指向で仲間とバンド組んでんだけどさ、みんな急用で俺だけ時間出来てしまったんだよ」
「あの、でも、申し訳ないのですが、私行かなければいけないところがあって…」
 
兄と待ち合わせをしているんです、と言う前に、その人が更に私に近付いて笑う。
 
「じゃあさ、その場所まで送ってあげるよ。その後一緒にカラオケとか…」
「えっと…、でも…悪いです」
 
それにお兄ちゃんと一緒だし知ってる場所だから迷う事はないし、多分カラオケしてる時間はないだろうし、カラオケなんてした事ないし…
断ろうと思うのに、口を挟む間もなく話しかけてくる。
 
「全っ然気にしなくていいって!ほら、車じゃないからヘンな事しないし、なんてね♪」
「は…、はあ…」
 
どうすればいいのかしら?
この人、私の話を全然聞いてくれない。
 
「あれがオレのバイク。そうだ、バイクのうしろ乗ったことある?」
「な、ないです…」
 
その人が怒濤の勢いで話しかけてくるものだから言いたい事も言えなくて。
 
「ちょっと挑戦してみない?ゆっくり走るからさー」
「危なそうですし…」
 
どうすればいいのか分からず、私はただ答えるしかなくて。
 
「大丈夫、ヘルメットあるから」
 
困り果てていたその時。
ふわり、タバコの香りが漂った。
それと共に背後から聞こえる、知っている声。
 
「俺のツレになんか用か」
 
振り向くと、そこに空夜さんがいた。
怒ったような顔をして、私に話しかけてきた人を見下ろしている。
その人は固まって、空夜さんを指さすと引きつった笑顔で私に聞いてきた。
 
「か、彼氏?」
「え!?こ、この方はその…」
「そうだ。」
 
慌てて説明しようとすると、その前に空夜さんがきっぱりと言う。
―――彼氏?
私と、空夜さんが?
途端に顔が熱くなるのを感じた。
そんな私とは裏腹に、空夜さんは声のトーンを落とす。
 
「で、おまえはだれだ」
「み、道を、聞いてたんです」
「…へぇ」
 
焦ったように答えたその言葉に、空夜さんがニヤリと笑う。
空夜さんの笑顔は好きだけども、今の空夜さんはちょっと怖い。
それはその人も同じだったようで、凍り付いたように動かなくなった。
 
「どこに行くんだ?“送って”やろうか…?」
「い、いいです!大丈夫です!!ボクもう行きますね!」
 
“送って”のところを強調して脅すように言う空夜さんの声。
その人は怯えたように、慌ててそれだけ言うと走り去ってしまった。
それを見送りながら空夜さんが何やら呟く。
唖然として空夜さんを見ていると、私の視線にハッと気付いたようにこちらを見た。
 
「…、お前、何してんだこんな所で」
 
空夜さんが、気まずそうにポツリとそう言う。
私も何だか気まずくて、何を言えばいいか分からなくて。
 
「…空夜さん、こそ」
 
同じようにポツリとそう返した。
 
「俺はバイトの帰りだ」
 
ポツリ、ポツリ、と交わす言葉。
更に気まずくなって何となく俯いて、しばらく沈黙が流れる。
何か言わなきゃ、と思った時、私はまずお礼を言うべきだったのだと気付いた。
空夜さんは困っていた私を助けてくれたというのに、まだお礼一つ言っていない。
唐突に空夜さんが口を開いた。
 
「お前、ぼやぼやしてっからあんな奴に付き纏われるんだぞ。
 ああいう奴はガツンと言ってやんねーと解んねぇんだ。
 曖昧に言うお前も悪ぃ。嫌なら嫌とはっきり言え!」
 
まくし立てるようにして一気にそう言う。
空夜さん、心配してくださってるのね。
 
「ありがとうございました」
「…あ?」
 
唐突に私がそう言うものだから、空夜さんが呆気に取られた声を出す。
そのまま私は空夜さんにお礼をした。
これで、分かってくれるかしら?
 
「お、おい!なんなんだ、何のマネだ!?」
「助けていただいたので…」
 
空夜さんがおっしゃる通り、私がもっとしっかりしていなきゃいけなかったのよね。
不注意から空夜さんに迷惑をかけてしまった。
わざわざ助けてくださるなんて、空夜さんは本当に優しい方。
 
「か、顔上げろって!別に礼なんかいらねぇ!」
 
空夜さんが焦ったような声になる。
でもまだ顔を上げれない。
だって、きっと今の私は変な顔をしてるから。
聞きづらいけど、一つだけ空夜さんに聞きたい事がある。
 
「…こ、空夜さんは…、私の…か、彼氏、なのですか?」
「………」
 
流れる沈黙。
ようやく空夜さんが、絞り出すように出した言葉は
 
「………なに?」
 
戸惑いを隠しきれないうわずった声で。
ああ、やっぱりこんな事を聞くのはよせば良かったとすぐに後悔する。
大した意味なんてないと、分かってたのに。
あんなのはその場しぎの言葉のあやであって、気にする方がおかしいの。
だって、空夜さんには好きな方がいるのだから。
 
「あ、あれはものの弾みだ!
 その、わ…悪ぃ。マジで申し訳ない」
 
予想外の言葉に驚いて頭を上げると、今度は空夜さんが私に頭を下げていた。
 
「えっ!?か、顔を上げてください!どうして謝るんですか!?」
 
驚いて、慌てて空夜さんの肩に手を置く。
顔を上げてくれないから、その肩に手を置いて押し上げようとして。
それでも空夜さんのたくましい身体はびくともしない。
頭を下げた姿勢のまま、空夜さんは言葉を続ける。
 
「弾みとはいえ、なんか恥かかせちまったし」
「は、恥なんて、どうしてそうなるの!?」
 
どうしよう、気を使わせちゃったの?
悪いのは私なのに、空夜さんに謝らせちゃうなんて。
もう一度、空夜さんの肩を押し上げようと腕に力を込める。
その時、唐突に空夜さんが顔を上げた。
物凄く間近にあるその顔が、焦ったような顔をしていた。
そんな表情をしてるなんて思わなくて、思わず私は空夜さんのその顔を見つめていて。
一瞬、私達の顔がどれだけ近くにあるのか気付かなかった。
 
「!!」
「!!」
 
次の瞬間、二人同時にバッと身を引いていた。
慌てて空夜さんから視線を反らす。
私ったら、今、空夜さんの顔を凝視していた?
“彼氏”発言について聞いた時よりも顔が熱くなっているのを感じる。
 
「そ、その、なんだ…
 お前の言う礼と、俺の謝罪、それでチャラってことでいいな!!」
 
有無を言わさない強い口調で空夜さんが言う。
私は慌てて頷いた。
何がどうチャラなのか、よく分からないけども。
更に、空夜さんは続けた。
 
「………お前、これからどっか行くのか?」
 
またしてもポソリと言ってから、ハッとしたように慌ててこちらを向く。
 
「これはナンパしてるわけじゃないからな!!」
 
その慌てっぷりが何だかおかしくて、つい可愛いなんて思ってしまって。
耐えようとしたのに、堪えきれず笑ってしまった。
 
「ふふ…っ、わかってます。空夜さんは優しいんですね。
本当はここで兄と待ち合わせしているんです。ちょっと早く着いてしまって」
 
お兄ちゃんなら15分前位に着きそうだから、そろそろ来る筈。
もう来る頃だと思うんだけど…と独り言のように呟いて周囲を見回す。
空夜さんが、何故かぎこちない口調になって言った。
 
「なら俺はもう行くが…
 さっきのこと、絶対兄貴に言うな。わかったな」
 
何だか逆らえない雰囲気に、私は小さく頷いた。
そのままサッと踵を返して立ち去ろうとする空夜さんを慌てて呼び止めた。
もう一度、お礼がしたくなって。
私の声に空夜さんが振り返る。
 
「ありがとうございました」
 
言うついでにちょっと手を振ってみると、空夜さんも軽く手を上げてそれに応えてくれた。
それが何だか無性に嬉しくて。
空夜さんの背中が人混みの中に消えた後もしばらくそっちを見ていた。
一人でうふふと笑っていると、不意にまた肩に手を置かれる。
 
「アル、待ったか?…どうした?」
 
ビクリと飛び上がって振り返った私をお兄ちゃんが怪訝そうに見ていた。
 
「やけに嬉しそうだったが何かいい事でもあったのか?」
「あ、ううん。何でもないの。行きましょう?」
 
私は慌ててお兄ちゃんの手を引いた。
空夜さんに絶対言うなと言われた事だもの。
それに…そうでなくても、誰かに言ってしまうのは何だか惜しい気がしたから。
私と空夜さんの秘密。
それも何だか嬉しくなってしまって、その後しばらく、私は口元が緩むのを抑えきれなかった。


*****


中途半端な仕上がりに終わりました(爆)
取りあえずこの二人の少女漫画オーラはどうにかせにゃいかん。
だがそれがいいもっとやれ。

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無題
おそくなりましたあああああああ!!!!!!!!
こんばんはハレタカです昨日寝る前に見て滾りすぎましたご馳走様ですコメントが長くなりそうだったので携帯からではだめだと諦めたのですが携帯からとPCからで2回コメント残す手もあったなと後悔しておりますそのぐらい滾りましたありがとうございます。
ちょ…!!!!!!!!!!
少女漫画オーラいいとおもいますもっとやれ同意します。(真顔)
ってか視点直し!!!難しかったのは元が私の稚拙文だったからだと思いますマジで!!!!
シンさんのは本格文だったからこちらが弄りやすかったというか早く言えば「高レベル(シンさんの)を低レベル(私流)にする」か「低レベル(私の)を高レベル(シンさん流)にする」の違いです
明らかに後者が難しいに決まっているだろうが!!!!!!(カッ!!!!)
しかしながらのシンさんの素敵小説化!!!
アルちゃん視点が見れるとか何なのこの光栄末代まで語るわ。
マジでヤバイですマジパネェ。
とりあえずそこに座ってどこが中途半端なのか言ってみなさい。茶菓子は羊羹でいいかね。
いやもうラストとかも超かわいすぎました!!!空夜の知らないところでそんな…!!!!
アルちゃんマジかわいいんですがなんなの本当なんなのこの子俺の嫁に欲しいわ!!!!!!!!!!!!!!!!!(目血走)
本気でやばいですって空姫…!!!パロもだが普通バージョンも妄想が止まらない件。止める気もありませんがね(にこ!!!!!!!!!!!!!)
いやもうメールでも言いましたがロン毛どころじゃない状態です。しかし頭頂部は抜けたので落ち武者状態なってますが気にしないでやってください髷結いなおしてきます。
とにかくありがとうございました…!!!!!!!!!!
あああああやべぇ…マジで……!!!!!!
超ごちそうさまです本当!!!!!!!!!!
ハレタカ 2010/01/19(Tue)21:50:56 編集
>ハレタカさん
いやいやいやハレタカさんの小説は全然低レベルなんかじゃありませんから!!!!!!
それを言うならおそらく、ハレタカさんの文才レベルが高いから私の小説でも視点直ししやすかっただけだと思います!!!(カッ!)
私のは、何かこう…何か全体的に中途半端なんですYO!
しかしこんな出来でも喜んでいただけたようで!良かったです…!
本当、何なんでしょうねこの二人の少女漫画オーラは。
銀茄子も空姫も同じほのぼのですが、銀茄子は和み、空姫は少女漫画担当だと思います(キリリッ)
照れるかどうかの差なんでしょうか こうやんもアルももっと照れればいいと思います照れまくって第三者にはバレバレだといい。
こちらこそ素敵な小説ありがとうございました元祖『危険物?』を読んだ時はまさに爆発しそうな勢いでテンション上がりましたからね(ニコ)
加えて手ブロでも描きましたがパロディネタ提供ありがとうございましたハレタカさんとしては提供したつもりはなかったのかもしれませんがちゃっかりパクって美味しく妄想しまくってます。
シン 2010/01/19(Tue)22:00:46 編集
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