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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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真夏に書いた真冬の物語第2弾。
同じく恥ずかしい、頭のゆるいお話でお借りしたものの例の如く別人な感じが否めないものです。
履修メイン、一部空月要素有りです。


出演:シュウ・リフィス・(いち場面だけ)空夜・アルミス・コリコ・ドラン・咲


あと名前だけ教師陣とかお借りしました!

*****



リフィスの馬鹿」
「……すみません」
「大っ嫌い」
「すみません」
「もっと大きな声で!」
「すみません!」


「……何だありゃ?」
生徒会室にて、女子生徒に土下座する生徒会長の図に空夜が唖然とした顔で呟く。
普段から無表情であることの多い彼女、シュウだが、魔王が光臨したが如くドス黒いオーラを迸らせて生徒会室の主を踏みつけている。
靴を脱いでいるのがせめてもの救いだろうか。
「……明日25日、終業式でクリスマスでしょう?学校が終わった後、デートの約束をしていたらしいんだけど。その……お兄ちゃん、生徒会の用事と、お父様の会社の関係でどうしても外せない急用が入っちゃったらしいの」
苦笑しながらアルミスが答え、あちゃーというように空夜も再び修羅場の二人を見やる。
自分にとって全てにおいて完璧であり、近寄り難いイメージを持つリフィスの初めて見る一面に意外な思いを抱いていると、不意にその対象がちらりとこちらを見やる。
見るな、とも助けを求めているようにも取れる、その情けない視線にどう反応すればいいか分からないでいると、向かいに座っていたアルミスが立ち上がった。
「空夜さん、二人はきっとまだ話し合うことがありそうだし、私達はもう帰りましょう?」
「お、おう……じゃあ、帰る、か」
「バイバイ、アルちゃん、空夜さん」
ちらちらと二人を気にしつつ立ち上がる空夜に、シュウもリフィスを踏みつけたままヒラヒラと手を振った。

「お兄ちゃん、自分はシュウさんを何とかしてから帰るから、私達は先に帰ってろって」
「……目で言ってたのか。分かるのか」
「うふふ、双子ですもの」
双子だからって視線だけで通じ合うものなのか?と首で傾げつつ納得する空夜の服の裾を、アルミスがそっと引っ張る。
「……空夜さんは、明日……大丈夫、よね?」
「あ、ああ勿論だ空けてる!お、お前こそ」
「大丈夫、学校が終わった後は何も予定を入れてないわ」
見合わせて、恋愛ボケした笑顔を互いに浮かべる二人は、生徒会室とは真逆の空気を醸しだしていた。


その日、クリスマス。
シュウは朝から機嫌が悪かった。理由は言わずもがなである。
「どうしよっかなー……」
この日のために何も予定を入れずにいたら、肝心のイベントがおじゃんになってしまった。
私と仕事とどっちが大事なの、などと言ってリフィスを困らせもしたが、半分ノリで言ってみたかっただけであってそんなことを本気で思ってはない。
彼が自分を軽んじているわけではないことは分かっているし、仕方ないことも分かっている。
大企業の御曹司でこの年齢から社交界に顔を出し、仕事を学びかけているという。
そんな彼だと分かっていて付き合っているのだ、クリスマスの予定が駄目になったと言われても笑顔で頷くのが年上の女というものだろう。
それでもがっかりはしたし、寂しいし、側にいたいと思う。
せめてメリークリスマスと言ってプレゼントを渡そうとしたら、肝心の彼は午前の終業式が終わるなり生徒会室に込もり、用事が終わり次第昼食も取らずに学校を飛び出していったという。
大変そうなだと心配しつつも、顔も見れなくてシュウの落ち込みは苛々へと発展した。
「シュウさんも参加する?」
不意に呼ばれて、そう言えば会話中だったと思い出す。
コリコの呼びかけに続いて、ドランがにこにこと笑いかけてくる。
「クリスマスでしょう?予定のない人みんなで集まってパーティをしようって話があったんです。サディス先生とフラン先生がお菓子を焼いて差し入れてくれるって申し出てくれましたよ。ヤツフサ先生は料理は任せろって張り切ってて」
「あっ、シュウさんは予定があるんですよね?でも少しだけでも参加出来るならぜひ一緒に」
机を動かしながら楽しそうに笑う咲に、シュウは迷うことなく頷いた。
だってどうせ予定は消えたし、帰って特にしなければいけないことがあるわけでもなし、友人達とパーティなんて楽しそうじゃないか。
そう、別にお菓子や料理に釣られたわけではないのだ。断じて、決して。
「……ま、クリスマスって別に恋人のためだけの日じゃないからね」
誰に言うでもなく呟いたコリコの言葉は、自分に向けてのものか、ただの独り言なのか。
リフィスとの関係は別に隠してなどいないが、何となく気恥ずかしいのもあって特に触れて回ってはいない。
はっきりと知っている者は限られるだろうが、知る人ぞ知る――というところだろうか。
とりあえずシュウは「そうだね」とだけ返しておいた。

料理やお菓子の到着に歓声を上げ、みんなでゲームをし、プレゼント交換をした(シュウは用意していなかったので急遽近くの雑貨屋へ走った)
まあ、こうやって仲のいい友達と騒ぐのは楽しいし、これはこれでいいか、と段々と気分が上昇してくる。
そうやって素直に楽んでいた頃――突然、教室の扉が勢いよく開かれた。
全員の視線が集まった先にいたのは、制服ではなくスーツを来たリフィスだ。
どこから走ってきたのか、肩で大きく息をしているリフィスはそのままシュウの隣に来て一同を一瞥した。
「……すみません。シュウさんは、俺と、一緒に過ごすんです」
一言そう言って、驚きに固まっているシュウの腕を掴むと教室を後にする。
扉を閉めた後にワンテンポ遅れて追いかけてくる、黄色い声やはやし立てる声。
まん丸に目を見開いているシュウの視線を避けるかのように、リフィスは無言でグイグイと廊下を進む。
もしかして、仕事関係の用とやらから直接ここに来たのだろうか?
「……どうして。そんな無理しなくても、別にもう怒ってないのに」
「違いますよ」
シュウの言葉に答えて、ようやくリフィスは歩みを止めた。
「……俺が。俺だって、シュウさんと過ごしたかったんです。だからどうしても避けられないことだけやって引き上げてきました」
シュウの位置からではその顔は見えないが、だがしかし、ハンサム形無しの赤面具合が斜め後ろからでも丸分かりだ。
表情に乏しいとよく言われるシュウだが、自身もまた、顔に血が集まっていることを自覚する。
一度俯いて、すぐ顔を上げるとシュウは小走りにリフィスの隣へと走り寄った。

「リフィス、リフィス」
「……何ですか」
「大好き」
「……俺もです」
 

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無題
履修とスラルktkr!!!????
なんだかこういう一次創作のCPネタ相当久々だった気がするんだけれど……やっぱり滅茶苦茶萌えますなぁ///////

スラルのラルフの妄想の連続に滅茶苦茶笑いましたwww
でもこれこそ一粒で二度おいしい演出だなぁ、とかとかvvvv
もうニヤニヤしながら拝見しましたvvv
時折(ラルフの妄想内では頻繁に)イケメンを発揮するスライル先生もう素敵でした(*´∀`*)
最終的にも、きちんとクリスマスイブをクリスマスイブとして認識し、それと思しきイベントを用意してくれているとか!!!!!!!
そして合鍵なしで部屋にいたVERもそうですが、やっぱりスライル先生の前では、セキュリティー性能のいい部屋とかマジ無意味すぎてwwwww
そして外に出る前にあったかい格好させてくれるあたり優しい……////
うちのラルフが「ついでに化粧したり身支度整える時間くれたら最高だったわよ!」ってびーびーいってますがお気になさらずwww

履修はリー君安定の王子様具合に私がふふふにへへしましたよvvv
シュウももう乙女全開しちゃってまぁvvv(*´∀`*)ホホエマシイ♪
スーツのリー君かっこいいんだろうなぁあvvvv
新年早々クラスメイトたちにからかわれる二人が容易に想像つきます、いいぞもっやれwwww
リー君はそれすっかり失念してて、新学期早々に赤面してれば可愛いなっていう私の希望的観測(真顔)
割とご飯にガッツリ釣られるシュウがシュウで安心しましたwww
あときゃいきゃいわいわいして相変わらず仲良しなISD高等部になんだか懐かしいような嬉しいような気分になりましたvvv
みんな仲良しで素敵っ!!!!
双子の以心伝心ぶりにも吹き出しましたwwww
さすがアルちゃん……マジぱねぇ。
普通あれだけ普段完璧なお兄ちゃんが彼女に足蹴にされてたら正常な判断できないわよ……(笑)
とかとか思ってしまったwwwwww

素敵な作品、しかも2本もありがとうございました!!!!!
感想一括で失礼いたします。
そして本当に御馳走様でしたvvvvv
イトル 2012/07/02(Mon)20:38:02 編集
>いっちゃん
ほんと、久々だよオリジCP!!!
私自身しばらく忙しかったのと、時代と私の嗜好の流れがCSに行ってたのとだな…(何言ってるの)
でもやっぱりオリジナルいいわぁ、楽しかった!

妄想を書くのが楽しかったです、有り得ないレベルから有りそうな妄想まで幅広くww
しかし現実はこれ、ちゃんと見直すと最低だぞ…仕事を溜めて放棄して唯真先生から逃げて、かと言って日付変更時間までどこで何をしていたのか不明でいきなり現れて引っ張り出すって…
うわぁ…最低…そんな奴に付き合ってくれるのなんて最早ラルフ先生しかいない罠。
付き合うというか巻き込むというk(ry
でもせめてクリスマスイブの認識だけは…!流石のスライルでもあったようですね!
化粧したり身支度を整える時間などスライルには眼中になかったようですが、ラルフ先生はそのままでも十分お美しいのだと思います。
いえ、何気にすっぴんだと美しいより可愛いのではないかという疑問が私の中で渦巻いているのですが写真撮らせてください。

新年早々からわれる履修想像してにやけた。
赤面するする、させるよぉ!あんまりしつこい追求に「いい加減にしろ!」って赤面で怒鳴らせたい!
シュウちゃんは平然とした顔してそうなwwwでも内心照れてるといいwww
アルはあれだ、シュウちゃんもリフィスも仲良しなの分かってるので、足蹴にしてても「ふざけてる」ぐらいの認識しかないのだと思われ!
この話で一番書きたかったのはリフィスがシュウちゃんを教室から連れ出すところ、その次が足蹴のシーンです(
いや何気に履修ってあんま書いてないから絶対書きたかったんだよね!スラルフは結構ネタが出るんだけどwww

こちらこそキャラさんお借りしまして…!また何か思いついたらお借りしますありがとうございます(先に礼を言った)
ISD学園の仲良しさは不滅!!!
シン 2012/07/03(Tue)00:07:09 編集
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