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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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実はまだ続いていました。
2を考えた時点で3も考えてて、続けれたらいいなーと思ってた。
うひひ!完成したぞ!
フラグは回収した!
正真正銘これで終わりだ!

ちょっと長くなったので分けました。

*****


一度目は好奇と恐怖、二つの相反する表情に。
二度目は光と闇、二つの対局にあるその色に。
私の心は強く引かれ、捕らわれた。
 
 
『翠緑の瞳3』
 
 
「サディス、この世界を覚えているか」
資料の束を私の手の上に置いて、扇架が私に尋ねた。
「ええと…十一年前と九年前と、それから五年前だな。お前に行って貰った所だ」
「ああ…この世界ですか。覚えてますよ。また何か問題でも?」
「いや、特にはないのだが」
資料に目を通す私に扇架が説明する。
 
九年前に一度、扇架の力によって世界全体の運命をあるべきものへと修正した。
その影響か、その世界と余所の世界の境界が弱くなっていたらしい。
五年前に別世界の魔物がその世界に入り込んだのはそういう訳だったのだ、と。
更に年月が経ち、その境界も自然回復して現在はそういう事はない筈である。
その確認と、何か異変がないか―――例えば五年前のように、在らざる存在が紛れ込んではいないか―――チェックをして欲しいという。
「…私が、ですか。葉琉や深鏡はどうなんですか?」
「いや、二人とも任務中だ。…何か都合の悪い事でも?」
「…いえ」
私はといえば、立て込んでいた仕事が一段落したところだった。
断る道理はないのだが…。
「お主、ここのところ動き通しだったであろう?今回はそう大変なものではないし、時間もかからない。幸いこの世界は今、割と平穏であるようだし…」
ポン、と私の肩に手を置いて扇架が微笑んだ。
「悪いが行ってはくれぬかの?その代わり、数日好きにしてきて良いぞ」
たまには羽を伸ばせ、と言い残して戻って行く彼女の背中を見送って、私は溜め息をついた。
 
 
仕事は呆気ない位にすぐ終わった。
扇架は、本当に数日の休養を贈るつもりでこの仕事を私に与えたようだ。
たまには羽を伸ばせという彼女の言葉を思い出しながら、私はとある島に降り立っていた。
五年前のあの少女に会おう、そう思ったのだ。
彼女がその後も生き延びている事は把握していた。
あの後彼女がどんな人生を送ったのか、現在どんな暮らしを送っているのか、しっかりと生きているのか。
そういった事が気になるからこそ私はこの世界にはもう来たくなかったのだが。
―――気になるなら、確かめてみればいいのだ。
 
ブラリ、市場を見て回る。
心の準備が必要だった。
実を言うと、私はまだ迷っていた。
本当に会いに行くのか。
彼女は私の事など忘れているかもしれない。
十一年前に気まぐれに彼女の様子を見に来た時のように、後悔する事になるかもしれない。
それなのに―――…
視界の端にちらりと映った、翠緑の色。
バッと振り向くと、そこにいたのはあの時の少女…いや、もう少女ではなかった。
スラリと伸びた手足の、それでいてまだどことなく少女っぽさを残した女性だ。
絶世の美女という訳ではない。
だがすっきりと整った顔立ちは好ましい印象を与えたし、“美しい”と思えるものだった。
そうだ、あの頃からもう五年が経っているのだ。
馬鹿な事を考えたものだ、記憶の中の少女がそのままそこにいるなんて。
 
彼女は青年と親し気に話していたが、私の視線に気付いたのかこちらに顔を向けた。
そのまま視線を戻すが、気にかかる様子で再び私の方を見る。
「…ナスクさん、ですか?」
近付いて話しかける私の顔をジッと見つめ、しばらく黙った後、彼女は口を開いた。
「…サディ、さん…?」
「ええ、そうです。また会えましたね」
にっこり笑って言う私に、ナスクさんは突然抱き着いてきた。
「良かった!―――また、会えた」
予想外の行動に驚いている私の事は気にもしないで、ナスクさんはパッと離れると嬉しそうに青年の方を向く。
「ロディ、覚えてる?サディスさん!まだスライル達と旅してた時に会った人!ほら、カルカッタ族殲滅戦の時の―――…」
「覚えてる」
ナスクさんの言葉に頷いて、青年が私に軽く頭を下げる。
「久し振りです。俺、ロディフルです」
そう言えば、ロディフルという名の少年がナスクさんの仲間にいた。
言葉数の少ない子供で殆どスラムにはいなかったが、いる時でも彼が話すのを聞いた事はない。
「ナスク、先に家帰ってるから」
「うん」
ナスクさんの荷物を受け取ってロディフルさんが去っていく。
相変わらず無口な人だ。
だが、彼がまとう空気は心なしかあの頃よりも柔らかいように思う。
「…ナスクさんも、男性と付き合うようになったのですね…。もう彼と結婚はされているのですか?」
しみじみと言う私の言葉にきょとんとした後、不意にナスクさんは爆笑し出した。
「ないない!ロディは仲間だから!付き合うとか結婚とか、そういうのじゃない!」
「一緒に暮らされているのかと思ったのですが」
「あぁうん、一緒に暮らしてはいるけど。うち部屋余ってるしロディは家がないから、ルームシェア的な感じで…」
まだ笑い止まぬ様子でヒーヒー言いながら、どうにか呼吸を整えたナスクさんが顔を上げた。
「で?サディさんどうしてこんな所に?ここには何日かいられるの?」
「ええ、数日の休みをいただいたのでしばらくのんびりしようかと思っていたのですが。…まさかナスクさんに会えるとは」
本当に、まさか再び会う事になろうとは思ってもいなかった。
尤も、会おうと思ってこの島に来たのは私の方なのだが。
「この島はあたしの庭みたいなモンだから、どこでも好きな場所に紹介してあげるよ。そうだ、泊まる場所はもう取った?この島には一つしか宿ないけど、居心地のいい宿だよ」
ナスクさんに連れられて宿に向かう。
ナスクさんは身体が大きくなった以外、あの頃と全く変わりないように見えた。
変わらず人懐こく、明るく、よく笑う。

「ロナルドさん!特上の客です、とびっきりの部屋を用意して!」
扉を開けるなりそう叫ぶナスクさんに驚いていると、中にいた宿の主らしき男性が叫び返す。
「ねえよ!全部同じ部屋だよ!」
そして笑顔になると、二人同時に私に向かって言った。
「いらっしゃいませ!」
呆気に取られていた私は、苦笑して軽く頭を下げた。

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