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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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①の続き!

*****


数日その宿に泊まっている間、ナスクさんは毎日私の部屋に顔を出した。
特に見るものもないけど、と前置きして案内された島は本当に何もなく、一日あれば殆ど見て回ってしまえるものだった。
ナスクさんが幼い頃に特訓したという場所や、海への飛び込み台代わりにしていたという崖。
それらも回って見るものがなくなると、宿の部屋で話をする事が多くなった。
旅の事、戦いの事、母親や同胞の事…彼女の話題は尽きなかった。
嬉しそうに色々な事を話してくれるナスクさん。
その瞳には、五年前に垣間見た闇は宿っていない。
「―――どうですか?生きたいと、思えるようになりましたか?」
唐突な私の質問に一瞬きょとんとした顔になるが、すぐにその問いの意味するところを理解したのだろう。
「ああ、うん…仲間、いるしね。あの頃とは状況も違うし、誰かを守れる位には、強くなったし…」
笑うナスクさんの表情が、すぐに真面目なものになった。
「―――サディさん、は?」
「…私、ですか?」
何故私なのか、と首を傾げる私の服の裾を握って、ナスクさんが真っ直ぐに覗き込んでくる。
「…サディさん、同じ目してた。死にたいと願っていた、あたしの知り合いと」
銃で撃ち抜かれたような衝撃だった。
―――ああ、確かに私は、幾度となく死にたいと願ってきた。
普段それを意識する事はないが、その想いが常に心の奥底にある事は自覚している。
しかし、この子は…いや、この人はそんな事まで見透かしてしまっていたのか。
「…どう見えますか?今の私は」
ごまかすようににっこりと笑ってみせる。
だが、ナスクさんの表情は柔らがない。
真剣な、どこか哀し気な眼差しで見つめてくる。
「…大丈夫ですよ、ナスクさん。私はまだまだ死ぬ事はありませんから」
というより、死ねない身体なのだから。
死ぬ心配だけはない。
安心させるようにナスクさんの髪を撫でるが、その私の手を握ってますます哀しそうな顔になる。
―――そんな顔をして欲しい訳ではないのに。
ああ、と不意に気付いた。
何故こうもナスクさんを気にかけてしまうのか。
育ての親に手をかけ、平穏だったその人生を過酷なものに戻し、それが運命とはいえ私が傷つけたこの女性に、私は笑って欲しかったのだ。
「人間はいつか死ぬものだから、死ぬなとは言えないよ?あたしだって明日死ぬかもしれないもの。そうじゃなくて…死にたいって、思う事が問題なの。サディさんはいったい何を抱えているの?」
きっぱりとそう言う。
何と強く鋭く、真っ直ぐな人なのだろう。
思わず、私は彼女を抱きしめた。
「…大丈夫です、私は死にません。貴女が心配するような事はないのですよ」
「―――違う、そういうのじゃなくて…」
抱きしめられたまま何か言いかけたナスクさんが、不意に私の身体を引きはがすと睨むようにして私に言った。
「…サディさん…まさか。サディさんは、もしかして…死なない身体なの?」
今度は衝撃どころではなかった。
文字通り頭が真っ白になった私は、目に見えて取り乱していたと思う。
「………、え………?」
ようやく絞り出した声はみっともない位に上ずっていた。
そんな私の腕を掴んでナスクさんは続ける。
「竜の肉を食べた?それで半永久的な身体を手に入れた?」
「…竜?」
言い伝えか何かだろうか。
それで私は少しだけ冷静さを取り戻した。
「…ナスクさん、死なない身体なんてないのですよ。先ほど貴女もおしゃったように、人間はいつか死ぬものです」
「じゃあどうしてサディさんは今、あの頃と全く同じ容姿をしているの?五年だとそんなに変わらないのかもしれない。数日一緒にいただけだし、あたしの記憶なんて当てにならない。けど、サディさんはあまりにも―――…」
そこまで一気に言って口を閉じる。少し躊躇った後ナスクさんは続けた。
「…竜の力は実在する。三百年生きてきた人を、あたしはこの目で見ている。元の身体に戻る方法も知っている」
「ナスクさん―――…」
「あの頃はそこまで分からなかったけど、今なら分かる。サディさんの気配は普通の人のものじゃない」
ナスクさんは確信しているようだった。
竜の力の事は知らないが、不死身の身体を持つのは事実だ。
その事を肯定したら彼女はどんな反応をするだろうか?
はぐらかしてシラを切り通す事は可能だったが、私は打ち明けたいという衝動に駆られた。
「―――ええ、そうですよ。貴女のおっしゃる通り私は普通じゃありません。どんなに怪我をしても死にませんし、老いる事もありません。何百年生きたかはもう忘れました。…ですが」
何か言おうと口を開くナスクさんを押し留めて私は言った。
「私にはこの身体が必要ですし、この生き方しか出来ないのです。長く生きてきた中で生まれた責任もある。たとえ元の身体に戻れたとしても、どうして今更別の生き方が出来ますか?」
ナスクさんを見据えるようにして、更に言葉を続ける。
「それを聞き出してどうするつもりだったのですか?貴女に出来る事がありますか?私の事など、何一つ知らない貴女に」
私の言葉に泣きそうな表情になるナスクさん。
自分がナスクさんを責めるような口調になっている事は分かっていた。
だから、この世界には来たくなかったのだ。
来たら会いたくなるに決まっている。
一度会ってしまうと、私はもう彼女から離れたくないと思う事は分かっていた。
もっと傍で笑わせたい、見守りたい。
でも私には、それは許されない事なのだ―――…
 
不意に、ナスクさんが私を抱きしめた。
 
「…サディさん、泣かないで」
「…私は泣いてなどいませんよ」
「でも泣きそうな顔してる。心が辛い、痛いって顔してる」
それは貴女の方でしょう、私が責めるような事を言ったから。
そう言おうとするのに、言葉にならなかった。
そうか、私は辛かったのか、などと今更他人事のように思う。
それと共に唐突に気付いた自分の中の感情に、私は戸惑いを覚えた。
目の前の女性に対する、責任感や父性、後ろめたさから来るものとはまた違った愛しさ。
思えばその感情は再会した時から抱いていたような気もする。
―――いや、初めて見たあの瞬間から、私は既にその瞳に捕らわれていたのかもしれない。
 
「…サディさん。あたしは貴方の事を何も知らないから、こうしろなんて言えないけど」
ナスクさんが静かに言った。
「あたしに何か出来る事はないの?少しでもサディさんが辛くないように、笑えるように。何でもいいから、何か」
真摯な声で訴えてくる、彼女の心。
それならばと私は思う。
「―――それならば、ナスクさん。私に、抱かれてくれませんか」
それは本気で言ったのではない。
ナスクさん程の年齢となれば、言っている意味は分かるだろう。
軽蔑しても幻滅してもいい。
怒って引っぱたいてもいい。
それで私も、未練なくこの世界を去れると思った。
そうでもしないと…私はこの世界に、ナスクさんに縛られる事になりそうだった。
なのにナスクさんは、怒るでもなく呆れるでもなく
「―――いいよ」
私を真っ直ぐに見て、そう言ったのだ。
 
 
「ゆっくりしてきたようだな」
扇架がニッと笑って声をかけてきた。
「ええ、おかげさまで」
「たまには休養も必要だぞ。無理はするでない、お主は溜め込む質だから。これからも頼りにしているからな」
トン、と私の身体を軽く小突く。
「…何事も程々に、という事ですね」
私は苦笑して答えた。
 
 
待ってる、とナスクさんは言った。
「いつサディさんが来ても迎えられるように。あたしが、サディさんの帰る場所になる」
「いいえ、ナスクさん」
私は静かに答えた。
「私はもう、二度とこの島には来ません。もし来る事があったとしても、貴女には決して会いません」
もう既に、充分過ぎるほど巻き込んでしまったのだ。
これ以上私の人生にナスクさんを関わらせる訳にはいかない。
どうしたって、同じ時を共にする事は出来ないのだから。
「…巻き込んでしまってすみませんでした。私の事は忘れてください。好きな人が出来たら結婚して、子供を産んで、貴女は貴女の人生を歩んでください」
私の言葉にナスクさんが泣きそうな顔になる。
あぁ、私は貴女にそんな顔をさせてばかりだった。
「忘れられる訳ないじゃない!サディさん、あたしは貴方の事―――…」
言い終わらないうちに、私は手を上げて彼女の言葉を遮った。
 
「ナスクさん。…貴女を、愛してます」


*****


途中でオチがログアウトしてどうしようかと思った。
まあ意味不明なのは相変わらずだけどな!
つか文章打ってて恥ずかしかった。(爆)
どうしたって悲恋になってまう さっちんだから仕方ないよね(ニコ!)

借りまくり色々と捏造しまくり本当にすみませんでしたマジで(土下座)


残る執筆中のコラボ小説は空姫のみ!
なのだが…思ったより難しいぞコレ…単純な話なのにonz
もう有言しちゃったんだし実行できるように頑・張・る★(ウザい)

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無題
アンタは神か、仏か、万物の創造主か・・・!!!(滝涙&鼻血&吐血)
ありがとうございます、まさかの三部作にワタクシもうリアルに頭がテンパッてますどうしてくれようかこのお姉さんは・・・!大好き過ぎて砂糖を吐く(待て)
今回のお話、携帯から布団に入った状態で発見して読ませていただきました(お前)
そのまま寝たら、絶対脳内でこのお話がアニメーションで流れていた事でしょう(超笑顔)
あ、無論エロス場面はきっちり私好みのアングルで再生していただきますが(何の話だ)
しかし切ない・・・!
落ちがログアウトしたと仰っておられますが、こう言葉でしめるは全然ありだと思います!
寧ろラストにあの台詞は反則・・・!!!(ゲハッ)
あぁあぁぁぁぁ!色々なものを持っていかれた・・・!!!
なっちゃんのさっちんを思ってくれる気持ち、親御として本当にありがたい、寧ろありがとうと本当に言いたい、というかシンさん娘さんに伝えておいてください!!
さっちん絡みは悲恋でいいと思います(ニコッ)
というか本当にこんなにもさっちん書いてくださってありがとうございました・・・!!!
私も空アル・・・いつ書きあがるかわかりませんが、頑張ります・・・!!!
影ノ虚 URL 2010/01/24(Sun)01:08:52 編集
>影さん
いえ、シンはシンでも私は神ではなくて紙です(キリリッ)
何かもうさっちん拉致りまくりですみませんんんんん!!!!!!!!!!

えっ、エロス場面?
そんなのありましたっけ?(ニコ)
嘘ですすいませんいっぺんこういうの書いてみたかったんです。
「いいよ」のくだりはかなり最初の方から考えてた展開なのですが、そこまでこぎ着けた後にさてどういう続き・オチにするか、と考えると「………」となりまして!
そこでオチがログアウトしてしまったので、無理矢理場面を切り替えてごまかして、最後にあの言葉で締めくくって終わりにした次第でございます。
だからあの後どういう会話があったとかどんな風に別れたとか何にも書いてないよ!(ニコッ!)
ご自由に想像してください 影さん好みのアングルでも何でも 影さんがお好きな調きょ(ry

いつの間にか持ってきてしまっていた色んなものはこっそりお返ししますので、空アルどうぞ頑張ってください。
無理はなさらないように しかし脱皮と育毛剤の用意は既に出来ております。
シン 2010/01/24(Sun)12:45:46 編集
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