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サイト『果てない大地 遠い空』の別館です。 異文化SchoolDays企画でのチャットに関するレポート、なり茶告知の場所です。
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えーと、すいません。
鷹宝です。
いや、あのですね…チャットで、刺さんと世界×世界設定でリタカを話してまして。
ちょっと、書きたかったんです、うん^p^

【設定】
リフィス:25歳
タカラ:16歳
リフィスは既に王になっている。
補正で、リフィスは婚約者もいないし結婚もまだだし、相手へのこだわりもありません。
タカラちゃんはリフィスが旅をしていた頃に知り合う。
エルハンド国が平和になってからちょくちょく遊びに来るようになって、現在はエルハンドの城に住んでいる状態。
ラウトはリフィスが結成した護衛団に入ってアルミスの護衛をやってます。多分。
アルも25歳だけどまだ正式には(?)誰とも恋人関係にありません。


*****


遠く、風の轟きが聞こえた。
草原の香りが一瞬したような気がして、少女はハッと顔をあげた。
だがそこにあるのは乾いた空気と砂の波ばかりで、金色に輝く空も風にうねる草原もない。
遠い異境の地にいる事を思い知らされるばかりで、少女は寂しそうにうなだれた。


『若き花の君』


「タカラはどこだ?」
城のどこにも見あたらない姿を探してリフィスが尋ねる。
いつもの事と特に心配そうな様子はなく、尋ねられた者もまたかというように首を横に振る。
リフィスの声に、ラウトが顔を上げた。
「王、またタカラの奴いないので?」
「ああ、ちょっと見せたいものがあったのだがな」
残念そうな顔をするリフィスを見てラウトが意味深ににやける。
「…何だ?言いたい事があるなら言え」
「べっつにぃ?タカラさっきどこか行くのを見かけましたけど、手ブラだったし、すぐ帰ってくるんじゃないすか?」
そうかと頷いて戻ろうとした時、アルミスがタカラの手を引いて現れた。
「タカラちゃん砂だらけなの。湯浴みの用意をしてくれないかしら」
砂まみれのタカラを見て使用人が慌てて湯浴みの準備に走る。
「タ、タカラ砂漠に出るつもりじゃなかったんよー」
何か言いかけたリフィスを見て叱られると思ったのか、慌てたようにアルミスの後ろに隠れる。
「風の音が聞こえたんよ!それでちょっと見に行こうと思っただけなんよ!砂に埋もれるなんて思ってなかったんよー!」
「…風の音?」
怪訝な顔になるリフィス。
不意に、タカラの表情が憂いを帯びたものになった。
「風の音が聞こえたんよ。タカラの故郷とおんなじ、音。ここは、リフィスちゃんの国なのに」
頷いてそう言うタカラに注意する気が失せ、リフィスはタカラの頭に手を置いた。
それにタカラがびくりとして硬直する。
苦笑してリフィスはその髪をくしゃりと撫でた。
「別に怒っちゃいないよ。オオアリジゴクの巣に落ちたか?いつも一人で国の外に出るなと言っているのはタカラが心配だからだ。私は別に君の行動を縛るつもりはない」
リフィスの声にホッとしたような顔になって体の力を抜く。
「でっかい虫がいきなり現れて砂の中に引きずり込まれたんよ!でもタカラ平気なんよ?すぐに抜け出したんよ!」
「君は素早いからな。だがあまり無茶はしてくれるな。君が平気でも私達は心配する」
穏やかな優しい声。
怒ってはいないけども、自分が危険な事をするとこの人は心配する。
タカラはしゅんとうなだれた。
「…ごめんなさいなんよ。タカラが危ない事したら、みんな心配するんよ?アルミスちゃんも?ラウト君も?」
「ええ、だからあまり無茶はしないでね?」
「おう心配するする!お前に何かあったら俺泣いちゃうぜ?」
タカラの言葉にアルミスとラウトが笑って言った。

「そう言えば」
風呂上がりのタラカの体を拭きながら使用人が口を開く。
「先ほど王がタカラ様をお探しでしたわ。後で王のところへ行ってごらんなさいな」
きっといい事がありますわ、といたずらっぽく笑う使用人の様子にタカラは首を傾げた。

「お花なんよー!嬉しいんよー!」
喜びを全身で表そうとするかのように、鉢植えを高く掲げてクルクルと回る。
嬉しそうなタカラの様子にリフィスが満足気に笑った。
「リフィスちゃん、どうしたんよこれ?この国でもこんなお花が咲くんよ?」
タカラがこの砂漠の国で見かけるのは、サボテン科の乾燥に強いものだけだ。
リフィスがいいものを見せてあげようと言って取り出した花は薄っぺらい花弁の、柔らかく少し力を入れただけで潰れてしまいそうな花だった。
「旅の商人が街で売っているのを見つけたんだよ。ここよりずっと東の方で咲く花だ。直植えは不可能だが、水をたっぷりやればここの気候でも元気に咲くらしい」
目を輝かせて花を見つめるタカラの様子を見て再び口を開く。
「タカラ、この花は君にあげよう。枯れないように世話をしてくれるか?」
リフィスの言葉に更に嬉しそうな顔になった。
「いいんよ?タカラ、大事に世話する!リフィスちゃんありがとうなんよ、嬉しいんよ!」
クルクルぴょんぴょん、じっとしていられないように跳ね回るが、鉢植えの土がこぼれたのに気付いて慌てて鉢植えを抱え直す。
それから、あ、と呟いてリフィスの方を見た。
「リフィスちゃんは?お花は、要らないんよ?」
「ああ、俺はいいんだよ。きっと君がいつでも見せてくれるだろう?」
花が増えた、種が出来たといちいち見せにくる様子が容易に思い浮かばれて、笑いを抑え切れずに口元を緩める。
そして、それに、と呟くように続けた。
「タカラ、君は若い。言ってみれば、今が咲き盛りの花なんだ。俺には君という花がいるからね」
リフィスの言葉にタカラが不思議そうに首を傾げる。
「タカラは花じゃないんよ?どこも、咲いてなんかいないんよ?」
ふっと笑ってタカラの頭に手を置いた。
「君が、黙っていなくなったり無茶をしたりして心配をかけなければそれでいいんだよ」
タカラが何やら難しい顔をした。
少し考えた後、ちらりとリフィスの顔を見る。
「…”努力します”なんよ」
「ラウトの真似はしなくていい」
呆れたように突っ込んで溜め息をつきつつ、きびすを返して戻りかける。
「詳しい育て方は庭師に伝えてあるから、彼に聞いてくれ」
分かったんよ、と元気良く答えるタカラの声を背後にリフィスはヒラヒラと手を振った。

時折、タカラの表情がふいに憂いを帯びる事にリフィスは気付いていた。
それはほんの一瞬の、注意していなければ見落としてしまうほど僅かな変化だったけども。
おそらく故郷が恋しいのだろうと推察する。
自分の故郷に、帰るべき場所へ帰れない辛さは誰よりもリフィスが身に染みて味わっていた。
だからこそ、タカラには笑って欲しいと思う。
それがその場凌ぎでもいい、タカラを喜ばせて、笑わせて、ここにいる間は出来るだけ居心地のいいものにしてあげたかった。
それはアルミスもラウトも同じなのだろうと思う。
いや、城中の者が、タカラを娘や妹のように可愛がっていた。

タカラの活動開始時間は早い。
大抵の場合、リフィスが起き出す頃にはもう完全に覚醒して城の中をウロウロしていたり、既に外出している時もある。
いつもより、少しだけ早く起きた。
まだ明るんですらいない夜明け前の城内を徘徊する中、そんな時間でも起きて働いている者がいる事に今更ながら少し驚く。
挨拶を交わしながら、ふと探していた対象人物を見つけた。
「タカラ」
リフィスがタカラを呼び止めた。
小走りに中庭を抜けようとしていたタカラが、リフィスの声に足を止めてこちらを向いた。
「何か用事はあるか?」
問いかけに、いつもと違う時間に起きている事に不思議そうな顔で黙って首を振る。
「一緒に行こう。いいものを見せてあげるよ」
その言葉にタカラが驚いた顔になった。
キョロキョロと周囲を見回して人がいない事を確認した後、リフィスの傍へ駆け寄るとひそひそと話す。
「リフィスちゃんも?でもリフィスちゃん、外に行く時はいつも護衛の人と一緒なんよ?一人だと怒られるんよ?」
「ああ、少しくらい抜け出したって構わないさ。みんなには内緒だぞ」
口に人差し指を当てていたずらっぽく笑うリフィスにタカラも笑顔になった。

砂漠の風は強い。
時折ザアと吹き付け、その度に砂が巻き起こる下をリフィスとタカラを乗せた馬が進む。
いつもは厚着を嫌がるタカラも、滅多にないリフィスとのお出かけが嬉しいのか、機嫌良く砂よけの布にくるまって
リフィスの腕の中にいる。
辺りを見渡せるような高台の上まで来た時、リフィスが手綱を引いて馬の歩みを止めた。
ぴょんと、タカラが飛び降りる。
「うん、ちょうどいい時間だったな」
馬の首を愛撫してからリフィスも降り立つと、目を細めるようにして一点を見つめる。
まさに今、太陽が昇ろうとしているところだった。
「見ろ、タカラ」
遠い砂漠の地平を指して、リフィスが言う。
「一日で一番美しいと言われる、砂漠の夜明けだ」
明るみ始めた空に一筋の光が差したと思うと地平に太陽が現れ、徐々に世界を照らしていく。
紺碧の闇に包まれた砂漠が、照らされた場所から輝きを放っていく。
その時、風が吹いた。
遠い轟きを伴うそれはタカラの髪を巻き上げ、広大な砂漠の上を走る。
次の瞬間、風に呼応するようにザアッと、砂漠が色を変えた。
「っ…!?」
美しくも異様な光景にタカラは息を飲んだ。
目の前にあるのは緑色の砂漠ーーーなだらかに続くその広陵は、果てなく広がる草原のようで。
その景色が、タカラの故郷の風景と被った。
自分が生まれ育った、どんな所よりもよく知った故郷。
今はもう遠い、手の届かない場所。
不意に、タカラの目から涙がこぼれ落ちた。
「…どうした?」
タカラの様子を見てリフィスが尋ねる。
ブンブンと首を振るとポロポロと泣きながらタカラが言う。
「分からないんよ。別に痛くも、悲しくもないんよ。ーーータカラの故郷みたいと思ったら、胸がギュッとしたんよ」
首を傾げるリフィスにタカラは言葉を続ける。
「同じなんよ、タカラの国にも草原があるんよ。夜明けはちょうどこんな感じなんよ!」
そう言って、笑った。
少し眉を潜めて、リフィスがタカラの顔を覗き込むようにする。
「…タカラ、植物が好きな君なら分かるだろう。その土地の気候、土、水、それらが揃ってこそ植物は生き生きと育って根を張り、花を咲かせる」
唐突な彼の発言にタカラは疑問の表情を浮かべた。
「そうなんよ、だからお花は自然に咲いてるのを見るのが一番いいんよ」
目をこすりながらコクコクと頷く。
「…帰っていいんだぞ」
しばらくの沈黙の後、ポツリとリフィスが呟く。
タカラはきょとんとした眼差しをリフィスに向けた。
「言っただろう、君は花だと。手元にいなくても、花は元気に咲いているのが一番いい。君も戻っていいんだぞ。君の場所へ」
自分を見て笑うリフィスに対し、タカラはその表情を変えない。
「…リフィスちゃんはタカラがいたら嫌なんよ?タカラ、ここにいてはいけない?」
「いや、そうではない。ただ俺は、君が無理をしてここにいるのではないかと思って…」
「タカラ、いつそんな事言ったんよ?」
リフィスの言葉を遮って、タカラは怒ったように語気を強めた。
その反応にリフィスが少しだけ驚いた顔になる。
「タカラ、リフィスちゃんもラウト君もアルミスちゃんも、みんなみんな好きなんよ?この街は、居心地がいいんよ」
言いながら、何かに気付いたかのようにハッとした表情になった。
視線を落として、何か考え込みながら独り言のように言葉を続ける。
「そう…そう、タカラはこの街が好き。リフィスちゃん、タカラの」
そうして、タカラは顔を上げた。
真っ直ぐにリフィスを見つめる。
「…タカラの居場所は、ここなんよ」
強い視線にリフィスは射抜かれたように立っていた。
そのまま少しの間沈黙が流れる。
ややして、タカラが悲しそうにうなだれた。
「…タカラ、故郷に帰るんよ。リフィスちゃんがタカラを嫌いになるのは嫌なんよ」
「待て」
ハッとしたようにリフィスがタカラの腕を掴んだ。
「いいんだ、君はここにいてもいいんだ。皆、君の事が大好きだ」
言葉を切って、少し照れくさそうに笑う。
「君が…ここが自分の居場所だと言ってくれて、嬉しいよ。嫌いになる事などない、俺も君の事が好きだ」
その言葉に安心したような泣きたいような感情に駆られて、タカラは唐突にリフィスに飛びついた。
リフィスの胸にグリグリと頭を押し当てる。
その様子に苦笑してポンポンとその背中を叩いた。
「そろそろ帰ろうか。あまり姿をくらますと皆が困るし、怒られるからな」
「帰るんよ!」
リフィスから離れてタカラがぴょんぴょん跳ねた。
「リフィスちゃん、帰るんよ!”うち”に帰るんよ!」
そう言って、タカラが笑った。
つられてリフィスも笑った。
馬の手綱を引いて額を撫で、その間にタカラが軽い身のこなしで馬の背に乗る。
朝の太陽が、冷えた空気を温め始めていた。


*****


最初に描きたかったのは漫画で部分的なシーンのみだったのだけど、
漫画は描くの時間かかるなぁ、でもこれをスキットにするのはいまいちなぁ、と思ってるうちに、
全く別ですが小話が思い浮かんだので旅先でポメラさんで執筆。
という事は完成に2ヶ月かかったのか…まあ途中放置してたしなあ。
私にしては早い方か。
ポメラさん万歳。
でもってやっぱりオチがログアウト。
正直オチが一番難しいと思うわ。
つか今回は全体的にいまいち。話の流れがちぐはぐ。
ぶっちゃけ「俺にとっての花は君22:54 2010/05/22なんだ」と砂漠の現象の辺りを書きたかっただけです。
しかし何これKOKUHAKU?
最初はこんなつもりでは…書いてる間に「そうだタカラちゃんが自分の居場所を決める瞬間というのもいいな」と思って書いたらこんなんなった。
砂漠のこの現象も書きながら決めた。
特定の時間に特定の場所でしか見られないこんな現象があってもいいじゃない。

好きとか言ってるけど二人とも友愛の意味で言ってる。
タカラちゃんが自覚の有無はともかくリフィスに恋愛感情を抱いているかどうかは読み手に任せる。
リフィスは恋愛感情を抱いているかもしれない。
分からないけど支えにはなってそう。

あ、今閃いた。
タカラちゃんを庭師にして植物の世話をお願いすれば、フラリといなくなる事はなくなるんじゃない?
植物の世話しないと枯れちゃうもの。
どこかへ行く時はその間の世話を誰かにお願いすればいいしね。

ところでリクエストのラウタカもちょっと考えたのだが、タカラちゃんとラウトとリフィスの日常、みたいになった。

拍手[4回]

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無題
シンさんに萌えの往復ビンタを決められた刺が通ります(カッ)
タカラの行動が本当にタカラ過ぎて戦慄しました。確かにくるくる回ります、そしてきっと砂に埋もれます!!
場内のヒト達に娘や妹と思われているなんて、なんて美味しい。
タカラを庭師にしたら、場内まで植物だらけになることは間違いないかと思います(何)
でもエルハンドでは水は貴重だと聞いているので、どこまでしていいのかきっと悩んでそうです。
ふらりといなくなることはなくなりそうですが、
肥料集めと称していなくなることはありそうです(結局いなくなるという)
タカラの故郷の話は、小話程度にでも書けたらと思っています。
でもリフィス君の国が故郷でいいとおもいました!!!(カッ)
刺の脳内が鷹宝でいろいろ混沌になりそうでしたとさ(真顔)
素敵な小説ありがとうございます!!
ラウタカはきっとそうなると刺も思います。
ラウト君とタカラがいたら、きっとリフィスくんもきます・・・よね?(ぇ)
刺磨 2010/05/23(Sun)22:36:24 編集
コメ返!
ちょ…!早速拍手ありがとうございます!!!
誰なの! 笑

>刺さん
スカイプでも話題に出たのにコメントまでもありがとうございます!
良かった、タカラちゃんが偽物ではないかと思っていましたでも貫き通しました(お前)
あの、タカラちゃんがそんな憂いを帯びた表情とか…実際はしないのかなと思ったんですけど、
タカラちゃんも年頃だし、時にはそういう事があるといいなと思って書きました許してください。
タカラちゃんはみんなの妹だと思うの。
エルハンドでは確かに水は貴重だけども大丈夫です植物に使ったからといって破産する程ではないかと!多分!
って、結局いなくなるんですかwww
いいです出かけるという事を言ってくれればそれでいいんです。
タカラちゃんの故郷の話ktkr!!!楽しみにしてます!!!

何故タカラちゃんとラウトがいたらリーも来るというのか…!
嫉妬?www
いや大丈夫ですよそんな嫉妬とかしないですよでも三人一緒だと楽しそうなので私が来させます。
シン 2010/05/23(Sun)23:59:54 編集
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